濱田庄司 (はまだ しょうじ) 1894-1978

 濱田庄司氏は、現代の世界陶芸家の最高峰であるのみならず、個人作家の歴史においても、もっとも傑出した巨匠である。自身は陶芸家という名よりも陶工と呼ばれることを望み、古今の陶工の仕事を学んでその域、に達することを念願としておられるが、未来の造形が氏を陶芸作家の第一人者と評価するであろうことは、疑う余地がない。
 言うまでもなく、氏は、柳宗悦氏、河井寛次郎氏、芹澤圭介氏らとともに民芸運動の中心にあり、蒐集(しゅうしゅう)の分野においても世の美術品蒐集とは異なり、人間の暮らしの実用の美に対する豊かな眼識によって選び集められている。
 半世紀に及ぶ民芸運動は、生活雑器の美しさに対する認識をすでに普遍的に認識せしめた。

(水尾比呂志著「濱田庄司の蒐集」1974より)