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心身全体による愛

 子育てー教育の基本は、心身全体による愛です。 
文字通りの触れ合い、だっこしたり、おんぶしたり、ほほ擦りしたり、ふざけ合ったりすること。また、心のこもった視線や感情の豊かな抑揚のあることばで接すること。一言で言えば、心身全体による愛です。

 理屈以前の身体的な触れ合いこそが核心です。断言します。それがなければ、まともな人間には決して育ちません。
愛とは、心身全体によるもの。子どもが自分を心底「肯定」できるのは、全身で愛されているという実感のみです。
 子どもを「言葉」だけで教育できると思っている人は、全くの能天気です。子どもが著しい適応障害を起こすのは、「理性」の不足からではなく、「愛」の不足からなのです。

 自分を自分で肯定でき・受け入れ・愛することができなければ、他者を肯定し・受け入れ・愛することは、不可能です。他者を肯定できなければ、中身のある人間付き合い=真の人間関係は決して生じません。

 人間関係とは、言葉で教育できるものではありません。愛や思いやりや優しさは、具体的に態度で示すことができるだけです。教え込むことが不可能な領域です。大人である私たちが、形だけで他者と関わる外面人間であっては、よい子は育ちません。本気、本音で他者と関わる勇気が必要です。愛の心があれば、ぶつかり合いは生産的になります。しかし、勝ち負けの意識が支配する愛のない不幸な心は、すべてを壊してしまいます。

 「心身全体による愛」は、人間の様々な営みを「よい」ものにするための絶対の条件なのです。言葉―理屈ではなく、実践です。そのように生きること、態度で示すこと、それ以外の方法がありません。
 子育てー人間を育てる基盤は、「心身全体による愛」にあるのです。心身全体で愛し生きることのできる人間を育てなければ、私たちの社会は砂漠化して生きる意味が消えてしまいます。


武田 康弘

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